随分以前、「模型と工作」という雑誌がありました。その本に、西村正平さんという方がH0ゲージの制作記事(ペーパーモデル)を載せていました。その制作記を見た時から、私は鉄道模型の世界に入っていったのです。
紆余曲折、HOゲージからNゲージ。そしてHOへ。ペーパーから真鍮そしてペーパーへ。長短のブランクを乗り越え現在もその趣味は続いているのですが、どうも最近鉄道模型の「工作」をする方が少なくなってきたのでは、と思うようになりました。銀座天賞堂から真鍮板が消えて十数年。完成品や組み立てモデルは豊富に揃っているのですが、純粋に「工作」ができるものが…。
最近ではレーザーカットで裁断されたペーパー組み立てキットが売られるようになり、ますます「工作」しづらい状況になってきています。そりゃ楽に作れて失敗が少ないに越したことはありませんが、やはり、三角定規にカッターナイフ、斬った、貼ったの世界が好きな人はまだまだいるのではないかと思います。
そんな「工作派」の方々のために鉄道模型ペーパーシートシリーズの発売をします。サイズは1/80と1/87、N(一部除く)もあります。Ttも始めました。軽便(1/87、1/45&1/48)もあります。全てのシートで試作をしていますから、説明書には制作途中の写真を添えるようにしています。
夜、ひとりでいっぱい飲みながらコソコソと窓を抜くというのはナカナカのものではないかと思います。
私の趣味で旧型気動車ばかりになる予定ですが(ゴメンナサイOHAもMOHAも始めてしまいました)、先のことは誰にも分かりません。
車輛工作をしたくて、Nに限界を感じHOに転向した私。しかしペーパーシートの性格を考えるとNがないというのはどうも中途半端だなと思っていました。そこでHOのペーパーシートをそのまま縮小(積層屋根は図面を修正しています)して工作ができるものかと試してみたら、できちゃいました! もちろん販売するペーパーシートはNに合わせて多少アレンジしていますが基本的にはHOと同じです。KIHA42000の前面窓の三日月、2段窓、リベットやHゴムもHOと同様に表現できます。エライ細かくて大変ですが、やってやれないことはありません。楽しい工作と言うか、根性の工作です。でも完成してみると、Nの車輛って本当に可愛いですネ。
Nがあるなら、これもなきゃおかしいだろという声もあり、多分世界初!TTのペーパーシート(型紙)を発売しました。この1/120という大きさは構造・設計的に1/80サイズと同じ仕様にできるギリギリのサイズです(一部車両を除く)。パーツ等のこともありまずはKIHA22からスタートします。
ペーパーシートシリーズの基本は工作なのです。鉄道模型という言葉と鉄道模型工作という言葉が同意語だった時代がありました。いや、そんな時代だったのです。キットもパーツもろくに無く、下手すりゃモーターさえ自作するのか、という時代に今の鉄道模型工作の礎を作ってくれた人たちがいるのです。ワー大変です。話が長くなるのでこの辺で結論。基本的に1/80&1/87で設計しています。いろいろな事情(私の怠慢、他)でN及びTt対応していない車種もあります。が、チャレンジしたいという方はご相談ください。